- 2011.12.5
村上たかし先生の原画展エピソードをご紹介
村上たかし+あすなひろし原画展が開催されるにあたって、村上たかし先生からの寄稿文が展覧会場に掲示されています。あすなひろしと村上たかし氏の接点がわかる、とても素敵な内容でしたのでここに紹介させていただきます。
———————————————————————————–
僕があすな作品に出会ったのは
大阪から東広島に移り住んで間もない
四年半前のことでした。
ちょうどその頃、
当時、まだ三歳だった息子が、
長期入院することになってしまいました。
その時の主治医だった村上功先生が、たまたま、
あすなひろし先生の主治医でもいらして、
(しかも非常に漫画に造詣の深い方で)
僕が毎晩、息子の病室で寝泊まりしながら漫画を描いていると、
時々、あすな先生のお話をしに来て下さいました。
今、僕と息子がいる、この病室で、まさに、
あすな先生が亡くなられたのだということ。
どれほど稀有で偉大な作家だったかということ。
そして、あすな先生が最期を過ごされた部屋で、
僕は、功先生からお借りした、
あすな作品を一つ一つ読み進めました。
言葉では言い表せないような感動に、
一つ読み終わるごとに
心が震えるような、静謐な気持ちになったことを覚えています。
その直後に、僕は人生初のストーリー漫画を描くこととなるのですが、
(それまではずっとギャグ漫画を描いていました)
こうした作風の変化も、きっと、あすな作品との出会いが
一つの転機になっていると感じております。
息子の寝息を聴きながら、真夜中の病室で、
初めて読んだ時の感動は今も忘れられません。
以来、勝手にご縁を感じておりました。
この度、くぐり門が完成し、
東広島ゆかりの作家ということで、
僕の原画展のお話があった際、
それでしたら僕なんかよりももっとすごい、
はるかに偉大な漫画家の先生が、
この東広島におられたのですよと申し上げ、
共同開催の運びとなりました。
その後、ご遺族の方から
このくぐり門のすぐそばに、
あすな先生のご実家があったことをお聞きし、
改めて、不思議なご縁を感じています。
あすなひろし先生ご遺族の皆様方に心より感謝申し上げます。
また今回の共同原画展開催に際しまして
多くの方にご尽力頂きました。重ねて深くお礼申し上げます。
村上たかし 拝
———————————————————————————–